すがすがしい秋晴れの11月13日（水） 15:00～16:00、龍谷大学 深草キャンパス内にあるＣａｆｅ樹林にて、『運命を生かす』読書会を運営しました。今回ＰＨＰ友の会からは馬戸秀雄さんと片岡明夫さんが出席くださり、20代から70代までの方々13名での読書会となりました。

11月13日の言葉は「嫉妬心は狐色に妬く」ということで、人間の本性に迫りつつも松下幸之助さんの表現力が際立つテーマ。まず、定例どおり私から補足を行ないました。『運命を生かす』11月のテーマ・「人間を考える」について、幸之助さんが人間の本質を研究された理由を簡潔に説明。「宇宙の法則」という言葉も、20代の方々に理解いただきやすくするため、「人間の能力を遥かに超えた宇宙全体に働く大きな力。運命」と言い換え解説しました。そして幸之助さんが提案されている「狐色」についても、「適宜適切で人から好感をもたれる度合」ということをおっしゃりたいのではないかとお伝えしました。

次に、参加者の方々へ「これまでに仕事上や私生活で、嫉妬心を抱いた経験はありますか？」と質問。「仕事中に上司から何度も同じことを注意されて悔しかった」「△△の試験に落ちて悔しかった」「後輩が自分より先に昇格して腹が立った」などのご意見がありました。私生活のエピソードも多く、特に「自分は背が低いので長身の人がうらやましい」というコメントについては共感される方を中心に盛り上がっている様子でした。また、「嫉妬はなく、相手から教えられることが多くありがたいと感じている」「幼少期から学生時代にかけ身体的なハンディがあり悔しい思いもしたが、その分学習にいそしみ結果を出した。その後ハンディも完治した」というように、すでに嫉妬心を前向きに転換し生かしておられるお話もあり非常に興味深かったです。

あるご参加者から「『宇宙の法則として人間には嫉妬心が与えられている』という記述がありますが、これはどういう意味ですか？」という質問がありました。私から出典である『ＰＨＰのことば』に書かれている内容も含め、“宇宙の法則 → 物的法則・心的法則。心的法則の中の一例として嫉妬心を挙げておられる”“幸之助さんご自身もさまざまなハンディがあり、嫉妬心を抱いた経験もあると思われるので、これをあるがまま認め生かす方法を追及されたのではないか”と改めて考えを述べました。馬戸さんからも「嫉妬は三毒の煩悩・愚痴に含まれる人にとって代表的な感情。お釈迦様も幸之助さんもこれを正しく活用することに苦慮したのだと思うし、その手段として『素直な心』を提唱されたのではないか」と心強い補足をいただきたいへん助かりました。

まとめとして、①嫉妬心は見方を変えれば自分にとっての学びや向上心に結びつく　②嫉妬心だけでなく喜怒哀楽をはじめとする感情を適切に生かして活動することが、自分の魅力となり周囲を和やかにする　とお伝えし締めくくりました。勉強会後、“今回のように経験や思いをお互いに分かち合うことも、自分の感情を狐色に妬く取り組みの一つではないか”とふと気づきました。懇談後Ｃａｆｅ樹林の外へ出ると、正面東の空に狐色にも近い明るい月が浮かんでいて癒されました。

（ＰＨＰ友の会事務局　平山健太郎）